エウリディケ最後の日

When worlds collide


<div align=center> <img src="eurydice_s.jpg" width=400 height=300><br> パノラマをご覧になるにはプラグインが必要です。<br> トップページに戻り、ダウンロードして下さい。 </div>
[
Full Screen | Source Image]
Mouse drag or cursor keys:View Direction/SHIFT,CTRL:ZOOM

いつもと変わらぬ夕日が、「エウリディケ」南半球の島影を照らし出している。しかし、地表の様子はいつもと少し違っていた。
 最接近の時刻が近づくにつれて、「オルフェウス」に面した側では次第に潮位が上昇しつつあった。このちっぽけな島は、平均6,000メートルの海に覆われた「エウリディケ」では最高峰といえたが、今は山頂付近まで波に洗われ、北東の空は「オルフェウス」の巨大な姿に覆い尽くされていた。
 数分後、「オルフェウス」は潮汐力で引き裂かれながら「エウリディケ」の夜側に接触した。秒速12キロで突進してきた「オルフェウス」が「エウリディケ」をマントルまでえぐり、海水と岩石は沸騰し飛散した。数時間後、一度宇宙空間に飛び去った「オルフェウス」の中心核が再び落下し、第2の衝撃が「エウリディケ」を襲った。気化した岩石が軌道上で凝結して「エウリディケ」の赤道上に塵のリングを形成した。地表のいたるところでマグマが噴出し、つかのまの生命の楽園は焼き尽くされた。この日、二つの世界は衝突し、永遠に滅び去った。
 だが、劫火と塵埃のなかから、早くも新しい秩序が生まれつつあった。衝突から40億年目に出現する不格好な知的生物が、「地球」と「月」と呼ぶことになる世界であった。

「オルフェウスの朝」と対を成すパノラマで、「オルフェウス」から約30分後の「エウリディケ」の地表の様子を描いています。場所は南半球中緯度地帯です。
 月の成因や各惑星・衛星の環境のバリエーションを説明する理論として、惑星どうしによる「巨大衝突(Giant Impact)説 」が定着しつつあります。月は、原始地球に火星サイズ(直径が地球のおよそ半分)の原始惑星が衝突し、飛び散った破片から形成されたと言われています。この一組のパノラマはこのシナリオに基づき、40億年あまり前、地球-月系の誕生前日を描いています。
 通常、原始地球は形成直後の不毛な惑星として描かれることが多いのですが、今回はアメリカのドキュメンタリー専門チャンネル「ディスカバリーチャンネル」で放映された「If we had no moon(もし月がなかったら)」をもとに、原始地球も「オルフェウス(番組中の原始惑星の名)」もすでに水をたたえた惑星として描いてみました。番組では、すでに原始的な生命が誕生していたかも知れないが、衝突によって完全に白紙に戻されたとしていました。信憑性はともかくとして、太古の知られざる楽園というイメージが非常に魅力的だと思いませんか?
 「エウリディケ」はギリシャ神話に登場する竪琴の名手オルフェウスの妻の名で、原始地球の仮称として筆者が名付けたものです。また、このパノラマの英語タイトルは、フィリップ・ワイリーとエドウィン・バーマーの小説「地球最後の日(1932年)」の原題で、「(二つの)世界が衝突するとき」の意です。アーサー・C・クラークの小説「神の鉄槌」とともに、ミミ・レダー監督の映画「ディープ・インパクト」の元になっています。

DATA
[Orpheus(ProtoPlanet)]
1B = 0.2km
[Eurydice(ProtoEarth)]
Not Sacale

★関連リンク
 国立天文台 巨大衝突による月形成ムービー:巨大衝突によって軌道上にばらまかれた物質が次第に凝集して月が形成されるまでを描いています。高速回線が利用できる人は、ぜひ320×200バージョン(MPEG 21MB)を見てみて下さい。圧巻です。


Back